「広い空間を2つに分けたい。」
「通路と部屋の間にドアが欲しい。」
何年も住んでいると生活形態や家族構成が変わり、無かった場所にドアが欲しくなってくることがあります。
子供が小さいうちは広い部屋にしておいて、成長と共に1つの部屋を兄弟姉妹の部屋に分けれるように最初から設計してあるお家なんてのも存在しますが、大抵の場合は、暮らしていくうちに欲しくなるもの。
また、賃貸や貸店舗で「なぜ、ここにドアがない!!」と叫びたくなるような間取りをしている物件に出会うこともあります。
その良い例が下記のワンルーム賃貸マンションの例。
写真の手前がいわゆる部屋部分なのですが「キッチンの手前にドアがあった方が良い」と思いませんか?
…という訳で「賃貸の玄関丸見えの状態にドアを付ける」を実行したのがこちら。
ワンルームの玄関に仕切り+ドアを設け、玄関と部屋を分けた状態
完成後を見ると「とても大掛かりな工事なのでは?」と思うかもしれませんが、実はこのドアは既存の壁に一切ビス穴を開けることなく設置しています。
また、この方法の基本は、壁を立てることにありますので、ドアを観音タイプに変えることも可能。
どんな手段で何もなかったところに仕切り壁&ドアを新設したか、手順を紹介していきましょう。
賃貸の壁を傷つけず柱を新設&部屋を物理的に分ける
1.一般的な壁の作り方と事例の壁の作り方の違い
上の写真のように、ドアや開閉壁を使って1つの部屋を2つに分ける場合、開口部の両サイドに壁が必要になります。
一般的な壁の作り方は、既存の壁や天井に柱を固定して、等間隔に桟木を渡し、コンパネやボードで壁を作るという手法です。
部屋を分けるのは一大事と思ってしまうのは、この柱を固定する際に、壁にビス穴が空いたり、クロスを剥がすという工程が生まれるからです。
が、紹介する事例の場合は、新たに作る壁用の柱を“LABRICO 2×4 ADJASUTER”(ラブリコ アジャスター)という部材を使って天井と床にビス穴を開けることなく固定しています。
実際にどんな風に柱を固定しているか見てみましょう。
1-1.LABRICO 2×4 ADJASUTER(ラブリコ アジャスター)を使って柱を立てる
“LABRICO 2×4 ADJASUTER”(ラブリコ アジャスター)は、女性でも好きな場所に簡単に柱を立てることができるようにと開発されたもの。
ホームセンターに売ってる2×4材がすっぽりと入るように設計されているので、ディスプレイ用の壁や囲い(?)をDIYできる優れものです。
下部がカップ、上部がアジャスターになっているので、ネジをくるくる回して天井と床に固定します。
2本目の柱は、ドア枠の外寸を測って1本目と同じように床と天井で固定します。
立てた柱にドア枠を固定し
完成です。
ドアをつけた状態。
2.ドアをつけるのに準備したもの
- 開きドア+ドア枠(ウッドワン ピノアースシリーズ S-VC)
- LABRICO 2×4アジャスター×2個(Labrico by 平安伸銅工業株式会社)※通販で購入可能
- 2×4柱×2本(ホームセンター)
- プラスターボード×1枚(ホームセンター)
大掛かりなリフォームというより、DIY感覚で部屋を仕切るイメージです。
事例はドアですが、この部材は、柱の間隔を自由に設定できるので、観音開き扉など、開口が大きな間仕切りを作ることも可能です。
3.壁を取り付けて柱を隠す
この工程はプロの腕前がある方か大工さんでないと無理かもしれませんが
残りの壁際に、3本目の柱をLABRICOアジャスターで固定し
ボードを新設した柱にビスで固定して壁を作ります。
新設した壁の内側に木桟を予め入れておくと、外からビスがもめるので、賃貸でビス穴厳禁の場合でも、ビスを打ち放題!!
今話題のスティック型掃除機を掛けられるように桟木を入れておきました。
4.壁を傷つけずにドアを付ける方法は賃貸に最適
今回、ドアをつけた部屋は、賃貸オフィスです。
4-1.メリット
賃貸物件は、壁を傷つけるのがご法度だったり、返却時には復旧して返すことが多いのでオフィス用のパーテーションを使って室内に仕切りを作ることがほとんど。
でも、オフィス用のパーテーションは“THE業務用”という印象で、おしゃれなオフィスとは程遠い。
こういった仕切りの常識を変えるのが、今回の工法です。
好きな場所に間仕切りが作れると部屋の使い方が変わります。
また、賃貸ワンルームの場合では、「部屋であれば良い」という要素が大きいせいか、生活のしやすさに配慮した設計になっていない場合があります。
仕切りや扉、ドアを設けることは
- プライバシーが守れる
- 防音効果に期待が出来る
- 省エネ効果に期待が出来る
というメリットもあります。
プライバシーが守れる
ここまで紹介した部屋内側からの写真だとわかりにくいですが、賃貸そのままの状態だと玄関ドアを開けた途端、室内が丸見え状態でした。
玄関ドアを開けて目に飛び込んでくる風景
ドアを作ることでプライバシーが守れ、部屋内に居る時のソワソワ感もなくなった気がします。
BEFORE:ドアが無い状態
AFTER:ドアを取り付けた状態
AFTER:残りの壁を作ってクロス壁紙を張った状態(ソファに当たってドアが開かなかったので吊元を逆にしました)
AFTER:更にソファとトランクテーブルを置いて壁面をディスプレイして完成
防音効果に期待が出来る
この部屋は、玄関ドアを開けた途端、部屋が1個あるだけの間取りです。
その為、廊下の話し声や物を引きずる音、隣の部屋の玄関先での話し声が気になることがありました。
部屋と玄関の間に1個ドアが増えただけで、これらの音が小さくなり「部屋のすぐ近くに知らない人がいる」という不安感が減少しました。
省エネ効果に期待が出来る
ミニキッチンの通路を挟んだ反対側はトイレ。
玄関ドアはすぐ近く。
この状態での冷暖房の使用は、必要のない玄関周りの空気まで冷やす(または暖める)ことになり、非常に効率が悪かったのですが、生活する場所をしっかりと密閉する壁とドアを設けることで、暖かい風や冷たい風が必要のない場所にまで届いてしまうのを防ぐことが出来ました。
4-2.仕切りパターン
また、賃貸オフィスの間仕切り以外にも
- ①広いワンルームに仕切り壁を作る
- ②広いワンルームに仕切り壁とドアを作る
- ③広いワンルームに仕切り壁と開口を作る
- ④ワンルームの玄関などの廊下にドアを付ける
などの応用も可能です。
5.仕切り壁・ドア施工実例
5-1.T様ご依頼【仕切り壁&ドア】施工例
壁付けキッチンのある「賃貸ワンルームに壁とドアを取り付けたい」とのご依頼を頂戴しました。
弊社事務所で使用したラブリコアジャスターを使って仕切り壁とドアを新設します(上記、仕切りパターンの②)
2×4材を等間隔で床と天井に固定します。
ドア枠の高さを墨付けし
ドア開口部のある下地(柱)が完成。壁は、羽目板ピノアース(無垢)仕上げにするため、下地(横桟)を取り付けます。
柱の内側と外側に無垢の羽目板を取り付けます。
羽目板と同じ素材&色の無垢ドアを取り付け完成です。(玄関側からの写真)
(キッチン側からの写真)
5-2.S様ご依頼【賃貸マンション 室内ドア新設例】
玄関から玄関ホール、リビングへと続く「賃貸マンションにドアを取り付けたい」とのご依頼を頂戴しました。
また「猫ちゃんが飛びついて、“ドアを勝手に開けてしまう対策”もお願いします。」とのご要望。
開口部に、ドアの枠幅に合わせて柱をラブリコアジャスターを使って2本固定。(上記、仕切りパターンの④)
(向かって左側が2本になっているのは、ドアと壁の隙間を埋める材料を後から貼る為です。)
新設ドア用の枠を柱に固定した状態。
ドアを取り付け、取っ手の穴加工を施します。
ドアは、パナソニック ベリティス WA型です。
ベリティス WA型の取っ手は、ハンドルタイプが標準なのですが、ハンドルタイプだと猫ちゃんが開けてしまうので、握り玉タイプの取っ手に変更しています。
ドアと壁の隙間をホワイトの化粧材で埋めて、完成です。
このページで紹介した事例は、セミプロの腕前のDIYが得意な方は、自分でできてしまうかもしれません。
が、柱が床に対して垂直に立ってないと、ドアの開閉がスムーズにできませんので、今回の方法が気になった方はお気軽にご相談下さい。
- 壁を傷つけることなく、部屋に仕切りを設けたい
- 賃貸の廊下ドアや仕切りを作りたい
- だっさいパーテーションは使わずにオフィスの中を分けたい
という方は、ご相談内容を添えて、下記フォームよりお問い合わせ下さい。
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